この記事は、吹き出しでの会話形式によるスティーブ・ジョブズの解説記事となります。
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また、この記事の内容はYOUTUBEで解説動画としても投稿しているので、ぜひ見てください!
ジョン・スカリーとスティーブ・ジョブズの対立、そして解任
ジョブズさんが追い出されたってどういうこと?
多額の予算と期間をかけて作ったMacintoshが売れなかった責任を追及されて、ジョブズがその責任を取る形でMacintosh部門主任および副社長の地位から解任されたんだ
でもジョブズさんってアップルの創業者でしょ?
失敗したから解任っていうのはひどすぎるんじゃ...
元々、独断専行で横暴な仕事をするジョブズは社内で、特に幹部から嫌われてたんだよ
でもクビになった一番の原因はスカリーとの対立だね
スカリーさんって、ジョブズさんがペプシコーラからヘッドハンティングした人だよね
スカリーさんとジョブズさんって仲良くなかったの?
最初はすごく仲が良かったよ
でもMacintoshが失敗してからだんだん仲が悪くなっていったんだ
ジョブズはせっかく雇ったのに経営で実績を出さないスカリーに不安を感じ、一方スカリーは社内で横暴な仕事をするジョブズに不信感を抱いていって
そして1985年5月の取締役会で、ジョブズは全ての業務から解任され、代わりに何の実権を持たない会長職を与えられたんだ
取締役会でジョブズは、スカリーがアップルにとってマイナスで不適格であると主張し、両者は激しく対立
これを受けてスカリーは、出席した幹部たちに自分とジョブズのどちらを支持するのか挙手による投票を実施した
その結果、その場にいた幹部全員がスカリー支持を表明
創業当初から一緒だったマークラもスカリーを支持した
こうしてジョブズはアップルでの居場所を失ってしまったんだ
マークラさんまで...ジョブズさん幹部から人望まったくなかったんだ...
でも今まで会社で好き勝手してたツケというか、これはジョブズさん自身が招いたしょうがない結果だと思う
ジョブズはこの時のことを「強烈なパンチを食らい、空気が肺からたたき出されて息ができなくなったような感覚だった」と語ってるよ
ジョブズさんも相当ショックだったんだね
新会社「ネクスト」を設立
居場所を完全になくしてしまったジョブズはアップルを去ることを決意
1985年9月にアップルを辞任したジョブズは、その後数名のエンジニアを引き連れて、新しい会社NeXTを起業したんだ
事業内容はもちろんアップルと同じパソコン事業でね
アップルの"次"だから会社名ネクストなのかな
それにしても、立ち直って行動するのめっちゃ早いじゃん
さすがジョブズさん
けどここでもジョブズの拘りが炸裂した
パソコンケースは外側だけでなく内側にも完璧を求めて数十万ドルかけたり、「NEXTSTEP」っていう新OSの開発も仕様を凝ったものにするため膨大な時間をかけたりと、ジョブズはアップルにいた頃と同様に完璧を求めた
そして1988年10月に「NeXT Computer」というパソコン新製品を発表、翌年に発売されたよ
ジョブズさんの悪い癖はアップルを追い出されても変わらなかったのね
でもAppleⅢ、Macintoshと失敗を経験してきたし、3度目の正直で今回こそ売れたんじゃないの?
高すぎて売れなかった
え
高すぎて全然売れなかったんだ
当初3,000ドルを予定していた価格が、発売では6,500ドル
しかもそこにプリンターやハードディスクを取り付けると1万ドル近くになって、あまりに高額だったんだよ
ちなみにマイクロソフトのビル・ゲイツは、これを「ガラクタ」や「クソケース」といって酷評したそうだよ
ビル・ゲイツさんにボロクソに言われてるじゃん
NeXT Computer自体はクオリティが高くて悪い製品ではなかったんだけどね
結局事業は軌道に乗らず、1993年2月には社員530人のうち280人を解雇して、パソコン本体を作るハードウェア部門はキヤノンに売却
NeXTはソフトウェア会社になったんだ
なんかジョブズさんアップル創業以来失敗しかしてなくない?
コンピュータ分野では確かに失敗続きだね
でもジョブズが進めているもう一つの事業の方は大成功していたんだよ
もう一つの事業って?
ピクサーへの投資
紗代はピクサーって聞いたことある?
さすがに知ってるよー
トイ・ストーリー超好きだし!
それにデスクライトがぴょんぴょん動いてPIXERの「I」の1文字を潰すのが印象的だよね!
じゃあジョブズがピクサーの創業者ってことは知ってる?
え!?
どうしてピクサーの話にジョブズさんが出てくるの!?
ジョブズはアートとテクノロジーを融合するコンピュータグラフィックスに惚れ込んで、1986年2月にルーカスフィルムのコンピュータ部門を1,000万ドルで買収して「ピクサー」と命名、そしてCEOになっていたんだ
ちなみにルーカスフィルムは、映画スターウォーズを作ったジョージ・ルーカス監督で有名な映像制作会社のことね
ジョブズさんも、スターウォーズみたいなCGを使った映画を作りたかったってこと?
ちょっと違うかなー
ジョブズはCGを制作できるソフトやハードを一般向けに売り出したかったんだ
だからピクサーも最初はアニメーションスタジオじゃなくて、CG製作を行うパソコンやアプリケーションを販売する会社だった
あのウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオも、この頃から顧客だったんだよ
この頃からディズニーとピクサーってつながりがあったんだね!
それで一般向けにはピクサーの商品は売れたの?
高すぎて売れなかったよ
知ってた
そこでピクサーのハードウェアとソフトウェアのすごさを世に示すには、ピクサー自身がCGアニメーションを作った方がいいんじゃないかとジョブズは考えた
そこでジョブズはジョン・ラセターという人にCGアニメの制作を依頼
30万ドルの資金を投じて「ティン・トイ」っていう短編アニメが制作されて、これが1988年のアカデミー賞短編賞を受賞したんだ
CGアニメがアカデミー賞を取るっていうのは史上初の快挙だったんだよ
ちなみに「ティン・トイ」は動くおもちゃがCGで登場する作品で、後の「トイ・ストーリー」の原型となった作品なんだ
30年以上も昔に作られたCGアニメって気になるかも
しかも「トイ・ストーリー」の原型になった作品なら見てみたい!
YOUTUBEで「ティン・トイ」って検索すればすぐ見れるから、あとで見てみるといいよ
そんなこんなでCGアニメの反響もあって、1995年11月にはついに「トイ・ストーリー」が公開された
公開までの4年間で、ジョブズはピクサーに5000万ドル以上を投資していて、これはアップルで得たお金の半分以上の金額だった
5000万ドルでまだ半分ってところに驚いたわ
そして「トイ・ストーリー」は大ヒットして、その後ピクサーは株式を上場
これによってジョブズは再び多額の資産を手に入れることができたんだ
ピクサーアニメがない世界なんて想像できないし、ジョブズさんの先見性はホントにすごいね!
アップルがネクストを買収
ジョブズがピクサーで大成功して、NeXTはソフトウェア会社として細々と経営していた頃、アップルは厳しい状況が続いていたんだ
アップルの経営状況は悪化の一途をたどり、1993年にはジョブズを追い出したスカリーは退任、1996年2月に後任のギル・アメリオが就任したときには10億ドルの赤字に転落していた
このとき、OSのマーケットシェアは97%がマイクロソフトのWindowsで、Appleのシェアは3%まで落ち込むほど没落していたんだ
ジョブズさんを追い出しても経営は良くならなかったんだね
そしてこの頃アップルではOSに問題を抱えていて、パートナーとなるソフトウェア企業を探していた
そこでジョブズは「ウチどう?」と言ってNeXTの買収案をアメリオに電話で持ちかけたんだ
ジョブズさんから提案したの?
自分を追い出した会社にまた戻ろうなんて普通は考えないよね?
そりゃあ追い出されたときはジョブズも怒ったさ
けど追い出されてから11年も経ってたし、ジョブズ自身も40歳を超えて丸くなったところもあるんだと思うよ
それに、アップルを立て直せるのは自分しかいないと感じてたみたいだし
追い出されても、アップル生みの親として救いたいって気持ちがあったのかなぁ
そうかもしれないね
アメリオは過去にあんな経緯があったにもかかわらず一緒に仕事ができるかもしれないと喜び、ジョブズの提案に興味を示したんだ
そしてその後のコンペでもジョブズのセールストークは凄くて、結局アメリオはNeXTの買収案を採用
1996年12月にアップルがNeXTを4億ドルで買収することに合意して、1997年2月にNeXT買収が完了したよ
これによって、Macの次期OSには「NEXTSTEP」が基盤技術として使用されることになったんだ
「NEXTSTEP」って1985年に作られたOSでしょ?
1996年当時で言うと11年前のOSだよね
さすがに古すぎない?
それがそんなこともなかったんだよね
「NEXTSTEP」は当時の他のOSと比べてもほとんど見劣りせず、機能も豊富だった
ジョブズは「NEXTSTEP」を発表した当時「このコンピュータは5年先を行っているよ!」とインタビューで答えたけど、実際は11年先を行っていたんだ
11年先取りはやばいね
倒産寸前だったアップルに復帰したジョブズ
そしてNeXTが買収されたことでアドバイザーとしてジョブズはアップルに復帰したけど、取締役会ではジョブズがアドバイザーとしてではなく、CEOとして復帰すべきという意見が幹部たちの総意になっていた
倒産寸前のアップルを立て直せるのはジョブズだけだってね
けどジョブズは1990年に結婚して家族がいたし、ピクサーのCEOであることに満足していたから、アップルのCEOになるつもりはなかったんだ
一方で、アップルがどうでもよかったわけでもなかった
迷った結果、結局ジョブズは新しいCEOが見つかるまでの暫定CEOとしてアップルに復帰することになったんだ
そしてジョブズの復帰に伴って、アメリオは解任されたよ
11年前の取締役会では満場一致で追い出されたけど、今回は満場一致でCEOに就任させようってなったのにそれを渋るジョブズさんってなんか皮肉だね
ジョブズが暫定CEOに就任した1997年7月時点での赤字額は10億4000万ドル
あと90日で倒産という間際だった
そんな窮地に立っていたアップルを救うため、彼は様々な改革を行っていくよ
マイクロソフトとの提携
まず1997年8月、ジョブズはビル・ゲイツのマイクロソフトとの提携を発表する
え、マイクロソフトと提携!?
でもビル・ゲイツさんとジョブズさんは犬猿の仲じゃん!!
かつては犬猿の仲だったけど、ジョブズは考えを改めたんだ
アップルがマイクロソフトを打ち負かすという考え方じゃなく、アップルを最高のコンピュータにするための最良の手段なんだとね
ジョブズはMacintoshを違法にコピーしたとするゲイツに対する訴えを取り下げ、代わりにゲイツはアップルコンピュータ用のプログラムを提供して、さらに1億5,000万ドルの出資をするという内容で二人は合意したんだ
この発表後、アップルの株価は急騰して時価総額が8億3000万ドルも増えたんだ
もうこれだけで大復活じゃん
改革はまだまだこれからだよ
ブランドイメージ再生の「Think different」キャンペーン広告
次はアップルのブランドイメージを一新するために、広告費を倍増して「Think different」というキャンペーンが行われた
キャッチコピーの「Think different」、そして誰もが知る偉業を成した人物が描かれた広告を各地で掲載したんだ
紗代はこの「Think different」ってどういう意味か分かる?
えっと、違うこと考えろ的な?
直訳だとそうだね
これは「発想を変える」「見方を変える」「常識や固定概念に捕らわれない」という意味になるんだ
そうなんだー
でも、広告費たくさん使ってこんなの出して意味あるの?
Macとかアップル製品の宣伝した方がいいじゃない?
ジョブズがやりたかったのは製品の宣伝じゃなくて、"ブランドの再生"だったからね
このポスターで他社とのブランドイメージは差別化できたし、多くの人がアップルにクールなイメージを持ったはずだよ
この広告を機に、マーケティングはジョブズ直轄管理に変更されて、コマーシャルやポスター、ビルボード広告まで全てジョブズ自身がチェックして承認する方式に変更されたんだ
たしかにアップルと同じようなイメージのブランドってない気がする!
アップル改革
そして社内では、まずコンピュータとOSというコア事業だけを残し、それ以外のプリンターやサーバー、モニターなどのサードパーティ事業はほぼ全て撤退を表明
また優秀な社員が辞めないようストックオプションの導入をした一方で、ジョブズが復帰した最初の年だけで3000人以上の従業員を解雇
従業員だけでなく取締役会の一新も行い、創業当初から幹部のマークラもジョブズは辞任させたんだ
え、マークラさんも辞任させちゃったの?
これはジョブズの新しい組織作りのためにやったことで、11年前に裏切られた復讐とかじゃないからね
ジョブズとマークラはちゃんと話し合って和解してるよ
そうなんだ!
ケンカ別れじゃないならよかったよ
革新的な新製品による躍進、世界一の企業へ
経営を立て直したのち、ジョブズの再編したアップルは革新的な商品を次々出して成功していくんだ
筆頭となったのは1998年5月6日に発表されたiMac
宇宙船のような半透明でクールなデザインと明るい色彩が話題となり、年末までに80万台の大ヒットを記録
次に2001年10月23日、iPodを発表
ポケットに1000曲を持ち歩ける携帯型デジタル音楽プレイヤーiPodは2014年までに4億台が販売されたんだ
その後の2003年4月28日、ミュージックオンラインストアのiTunesをリリース
1曲売れるごとに3割の売上がアップルに入るiTunesは、スタートから6ヶ月で100万曲売れるんじゃないかって予想だったんだけど、実際は6日で100万曲を販売した
そして2007年1月9日、ついにiPhoneを発表
電話・インターネット・音楽プレイヤーが一体になったiPhoneは、その後スマートフォンの世界標準となって、2020年現在までに累計販売台数は20億台と言われているよ
さらに2010年1月27日にiPadを発表
スマホとパソコンの中間に位置する製品ということで、当初は売れるか不安視されていたものの、これも成功を収めた
敗北を知りたい...
当初は暫定CEOとして就任したジョブズだけど、結局新しいCEOは見つからずそのままアップルCEOとして活躍
そして2012年9月、アップルは株式時価総額で世界一の企業になったんだ
ジョブズさんのおかげで、倒産寸前だった会社が15年で世界一の会社になったんだね!
スティーブ・ジョブズ死去
アップルが栄光を取り戻している陰で、実はジョブズはある病と闘ってた
2003年に膵臓ガンと診断を受けたジョブズは、自然療法でガンを治そうとしたんだけど、結局良くならずに2004年半ばに手術を受けたんだ
え、ガンって自然療法で治ることあるの?
ないよ
けどジョブズは絶対菜食主義で治すから手術は受けないと言って聞かなかったんだ
そういえばジョブズさんってペスクタリアン?っていう菜食主義だったよね
その食生活をずっと続けてたんだ
うん
菜食主義の考え方からなのか、「体を開かれるなんてごめんだ!」と言って最初は手術を拒んでたんだ
でも結局手術を受けたなら治ったんでしょ?
ガンの腫瘍が転移していたんだ
さらに新しい腫瘍も見つかり、ジョブズは徐々に衰弱していった
そんな…
そして2011年10月5日、膵臓腫瘍の転移による呼吸停止により、愛する妻や、親族に看取られながら自宅で死去
享年56歳
最期の言葉は、家族の肩の向こうを見つめながら「Oh, wow」と言ったそうだよ
享年56歳なんて・・・早すぎるよー
名言
1996年、スティーブジョブスは復帰した直後の広告キャンペーン「Think different」でこんな言葉を残したよ
「クレイジーな人たちがいる。彼らは規則を嫌う。彼らは人間を前進させた。彼らはクレージーと言われるが、私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから」
茶番
これがスティーブ・ジョブズだよ
ジョブズさんはクズな一面もあったけど
デザインや人選、マーケティングに関しては本当に天才だったんだね!
彼が製品に求めたデザインは、手に持った瞬間どう使うのか、まるで元々知っていたかのように、手足のように扱えるもの
考えるのは採算や利益じゃなく、クオリティであり、理想であり、ハートだと
それが彼の理念だったんだ
決めた!私アップルにエントリーシート出してみることにする!
せっかくアップルについて教えてあげたんだから、エントリーシートでもちゃんと役立ててよね
そりゃもちろん!
・・・あ、統計学Ⅱの講義もう始まる時間じゃん!!
私もう行くね!!
おうよ
・・・統計学Ⅱって去年の必修科目だったような
紗代はそもそも就活の前に卒業できるのかな?
終わり
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