会社で培ってきた業務経験とノウハウを生かし、今の仕事をやめて起業しようと思っているなら、再就職手当を貰って起業資金の足しにすることをおすすめします。
一念発起して起業したとしても、資金が尽きれば事業を継続することができません。
起業前に1円でも多く資金を用意するためにも、今回は税理士もお勧めする退職後に再就職手当を貰って起業資金にする方法をご紹介します!
再就職手当とは
退職前に雇用保険に加入していた場合、失業後は一定の期間で「失業保険」による給付を受け取ることができますが、中には再就職せずに失業保険を満額まで受け取り続ける人も出てきます。
そのような状態となる人を減らすため、早期再就職を促すために設けられているのが「再就職手当」です。
この制度は、失業保険(基本手当)を受給している期間中に「安定した職業への就職」が決まった場合に支給されます。
再就職手当の主な支給要件
再就職手当を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 7日間の待機期間満了後に就職、事業開始
- 給付制限者は待機期間満了後1か月間は、ハローワーク等の紹介で就職(自営開始も同様)
- 求職申込前に採用内定していない
- 1年を超えて勤務することが確実
- 過去3年再就職手当、常用就職支度手当を受けていない
- 再就職先が離職前の事業主関係ではない
- 失業保険による手当の支給残日数が1/3以上残っている
再就職手当の貰い方
再就職手当の貰い方は、主に以下の流れとなります。
離職 ⇒ 失業手当の申請 ⇒ 起業 ⇒ 再就職手当の申請
①必要書類の準備
まず失業手当を申請するため、以下の6点を準備しましょう。
- 雇用保険被保険者離職票
- マイナンバーカード
※ 持っていない場合はマイナンバーが確認できる書類(通知カードや住民票など) - 身分証明書(運転免許証やパスポートなど)
※ マイナンバーカードがあるなら不要 - 証明写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
離職票は、離職してから1週間程度で会社から送ってもらえるはずです。
ただし企業によっては、こちらから催促しないと離職票を送付してくれないことがあるため、退職前に離職票を会社に催促しておくと良いかもしれません。
②管轄のハローワークへ行き、手続きする
準備した必要書類を持って、現住居を管轄するハローワークへ行き、以下の手続きを行いましょう。
- 求職申し込み
- 離職票など必要書類の提出
- 雇用保険説明会の日時決定
失業手当を申請するには再就職の意思が必須です。
当然ですが、国は再就職を支援するためにあなたへお金を支給するので、求職申し込みの時は再就職の意思を必ず見せてください。
また、失業手当の受給には雇用保険説明会へ参加する必要がありますので、担当者から案内される日時で説明会に参加しましょう。
そして、求職申し込みが受理された日を「受給資格決定日」と言います。
この受給資格決定日から7日間を「待機期間」と言い、待期期間中に起業してしまうと、再就職手当が貰えないため、必ず7日間は起業せずに待機してください。
③雇用保険説明会へ参加する
以下を持参して、雇用保険説明会へ参加しましょう。
- 雇用保険受給資格者のしおり(②でハローワークから貰えるもの)
- 印鑑
- 筆記用具
そこで「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されるので、大切に保管しましょう。
説明会が終わると「失業認定日」が通知されます。
④起業する
失業手当の手続きが完了したら、起業して再就職手当を貰う準備をしましょう。
再就職手当が貰える要件の一つである「失業保険による手当の支給残日数が1/3以上残っている」を満たす必要があるので注意しましょう。
失業手当の給付日数は、年齢や雇用保険に加入している期間によって異なりますが、ここでは最も一般的な給付期間である"90日"と仮定しましょう。
この場合、給付期間が終わる30日前までに起業しておく必要があります。
起業するのは法人、つまり会社を設立しても申請できますし、個人事業主として開業しても申請できます。
ただし、個人事業主の場合は「業務委託契約書など1年以上仕事を受注できることを証明する書類」を提出する必要があるため、とりあえず開業して再就職手当を貰おうという甘い考えは通用しないので気を付けましょう。
起業翌日から1ヶ月以内という期日があるため、起業後は速やかに再就職手当の手続きを行ってください。
⑤再就職手当の申請
現住居を管轄するハローワークへ行き、再就職手当支給申請書という書類を作成して提出しましょう。
その後ハローワークで審査が行われ、問題がなければおよそ1ヶ月で支給が決定します。
審査に通過してから再就職手当が振り込まれるまでの期間は、およそ1週間から10日と言われています。
まとめ:貰えるものは貰って起業しよう
冒頭でもお伝えした通り、起業しても資金が尽きれば事業を継続することができません。
そのため、スタートアップでできるだけ多くの資金を集めることは非常に重要です。
離職してから再就職手当が貰えるのは、スムーズにいって1ヶ月半~2ヶ月程度と時間はかかりますが、普通に働いている方なら40~50万円は貰える心強い手当です。
起業資金を獲得するため、会社員から起業するのであれば「再就職手当」の申請を必ず行うようにしましょう。
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