2012年3月より警察庁は金融機関に対して、法人口座開設の際の審査を厳格化するように求めました。
それ以降、法人口座の審査が年々厳しくなってきていると言われています。
ましてや法人成りしたての新規企業なんかは信用力乏しく、経営者がどんなに素晴らしい人でも前準備なしでは法人口座の審査には通りません。
しかし、法人化したばかりの起業家は法人口座が作れないのかというと、答えはNOです。
銀行が審査するポイントを客観的に理解し、前準備さえすればメガバンクでもどこでも口座開設は可能です。
銀行の審査ポイントは多岐にわたりますが、今回は、中でも重要な6つのポイントを見ていきましょう。
法人口座の審査基準3点
法人口座の審査に重要なポイントは、以下の3つとなります。
- 経歴と事業内容
- 資本金
- 事業所の実態
これらを順番に見ていきましょう。
経歴と事業内容
会社を設立したての場合は当然、会社としての活動歴や決算報告書などはありません。
その場合審査の要素となってくるのが、経営者(社長)の経歴です。
これまでの職務経歴が設立した会社の事業内容と関係しているかが見られるポイントになってきます。
工場勤務だった人が、いきなり教育関係の業種を開業するなど、経歴と業種がマッチしていない場合は、それなりの成果やポートフォリオを別途持っていかなければ審査に影響がある可能性があります。
銀行への提出書類と一緒に、職務経歴が分かる書類や取引実績が確認できる資料などを持っていくと良いでしょう。
資本金
2006年に会社法が改正されたことで、資本金が1円であっても会社は作れるようになりました。
しかし、資本金が少ないと創業融資を受けたり、法人口座を開設することが出来ません。
具体的には、資本金100万円以下だと銀行からマイナス査定を受けてしまう可能性が高いとされています。
これには諸説ありますが、シェアオフィス業界の私視点だと大体100万円が資本金の目安です。
ですが、資本金の重要性は業種によってマチマチです。
例えば飲食店を経営したいという場合なら、賃料や光熱費、食材費が常に発生します。
毎月数十万という経費が発生するのに、資本金が20~30万円では信用力に欠けますよね。
一方経費がほとんどかからないような業種、例えばコンサルタント業で起業するなら、資本金が少なくてもそれほど心配はありません。
しかし、経費がほとんどかからない業種だからといって資本金は少額でいいというわけではありません。
このように、会社を設立する前にはある程度まとまった資本金を用意しておく必要があります。
事業の実態
事業の実態というのは、以下の3点です。
- 会社ホームページやパンフレット
- 会社の電話番号
- 事業所の住所
会社ホームページやパンフレット
会社の実態を証明するための材料として、ホームページやパンフレットの提出を求める銀行もあります。
会社の事業内容や所在、連絡先をしっかり明記したホームページやパンフレットがあることで、会社の信頼性はより高いものになります。
法人口座開設の申込をする前に、会社のホームページとパンフレットを作成するとよいでしょう。
会社の電話番号
法人口座開設には、固定電話の電話番号がないと受けられない銀行がほとんどです。
つまり、会社の代表番号が携帯電話番号ではダメだということです。
例えば、楽天銀行や住信SBIネット銀行は固定電話がないと申し込むことすらできません。
東京であれば、市外局番の03番号を取得しなければなりません。
事業所の住所
事業所の住所がバーチャルオフィスであったり、会社代表の住所と同じの場合、マイナス査定をされてしまう可能性が高いです。
バーチャルオフィスとは、住所のみで実態のないオフィスです。
例えば、オリックス銀行や住信SBIネット銀行はバーチャルオフィスだと口座開設はできないと明言しています。
そして事業所と会社代表の住所が同じ場合ですが、これは「オーナー企業」と呼ばれており、会社=社長という経営全般が社長の意思によって決定される企業のため、銀行によっては審査に響くところもあります。
会社は会社、代表者は代表者となるよう、会社の住所と代表経営者の住所は分けた方が良いでしょう。
まとめ
以上が、新規法人が法人口座を開設するために気を付けるべき3つのポイントです。
経歴と事業内容が明確であり、100万円以上の資本金があり、事業の実態がしっかりしている会社であれば、法人口座の審査に通る可能性は非常に高くなるでしょう。
法人口座の開設には2週間ほど時間もかかり、銀行の訪問や提出書類の準備など手間のかかる作業です。
何か所も審査落ちになれば時間をかなり浪費してしまうので、1か所目で法人口座を開設できるよう、前準備をしっかり行って申込に臨みましょう。
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